PARKTREK:THE NISHIKU LOCATION #4
『西区…… 以下同文』
前回までのあらすじ
西区探索の旅に出た宇宙自転車ハイパーマウンテン号は農試公園到着の直前に原因不明の衝撃波に巻き込まれ走行不能に陥ってしまう。事態を重く見た本部は旧式宇宙ママチャリ・エメラルドクイーン号での探索続行を決定した。なんとか琴似発寒川沿いを進むEQ号は、磁場の狂いをうけジャイロが機能しなくなってしまう。正確な航路図の作成のため、やも得ず進路の変更をするのであった。
1等三角点をもつ山、その名も「三角山」である。ここはその登山道入り口のひとつ。
「ココカラハ通信機ヲモッテ廣山一人デ登ッテクダサイ」
「最短距離をとれば、すぐに行けるな。」
「イエ、デキルダデ山ノデータヲ多ク取リタイノデ指示通りニ登山ネガイマス」
「ふん、面倒だな……」
「おや?案内図があるな。コンソールに表示せよ」
「矢印ノトオリニ進行シテクダサイ。頂上デハ三角点ニ触レルト、データヲ自動的ニ入手スルヨウセットシマシタ。」
「こぶし平」につく。とりあえず、ここから右にぐるっとまわって登ることにする。
左画像は「ニの坂」。
十の坂まで番号がつけられているようである。
「三の坂」を進むと「四の坂」と一挙に登ることができる道への分岐点につく。地図上ではこの奥は「哲学の道」と表記されているため、もしかしてこの左に上がっていく急な坂が「四の坂」なのかもしれない。
「哲学の道」を通りきると、そこから斜面が急になりジグザグに登って行く。
主な樹木には名札と説明がかかれており、どんな種類かが、わかるようになっている。今まで気になっていた大きなタマゴ形の葉をつけたものが「ほうのき」という名前だということがわかった。
それにしても住宅地から身近であり、楽に登れる山であるのでたくさんの人達が行き来していた。
山道というのは、すぐ近くにある非日常空間である。そこは見ず知らずの人々とも気軽に挨拶を交わすことが容易となる独特の空間だ。
しかし、それはあくまで表面的なものであり、その水面下では奥深い熾烈な戦いが繰り広げられているのであった。
会社勤めの方ならおわかりいただけるだろう。
初対面の人との顔合わせの場において、先に名刺を差し出した者が、そこでは勝者であることを!
山でもまた然り。先に挨拶をした者が勝者なのである。
だからと言って、10mも離れた場所から大声で「こんにちは!」と叫ぶのは愚の骨頂、単なる間抜けだ。己の進行方向に相手の姿を確認すると、明らかにお互い気づいているにも関わらず、何事も無かったかのようにまずは自分たちの歩みを続け距離を詰める。そしてぎりぎりのところで、いかにもたった今気づいたかのように「こんにちは!」と発するのだ。
もしも少しでもタイミングが遅れれば、先に相手に挨拶をさせてしまう。そうなったらこちらはその挨拶を受けて返すしかない。同じ「こんにちは」という言葉を発するにしても、明らかに負けであるのだ。その勝負のぎりぎりのところを見極めスリルを存分に堪能しつつ勝利を得ることこそ重要なポイントなのである。
先に挨拶をしたといっても、単にタイミングを合わせて明るく言えば良いかと言ったら、否である。いかに相手を認識し、その人物像を見極め、そして相手に合わせた挨拶ができるか。これが大事だ。
例えば、遠くから初老の男性が降りてくるとする。
厚手の格子模様のシャツを着て、背中には使いこんだミレーのザック。ニッカズボンを履き、右手にはスプリング付きのレキのポール。それなりの本格的登山装備。
息子達は当の昔に親離れをし、長年勤めた会社も去年で退職。さて、これからは趣味の登山を存分に楽しみ余生を充分に謳歌しよう。本来なら妻と一緒に登りたいのだが、どういうわけか彼女は山登りがきらいだ。いつも、どこが面白いのかと、愚痴を言っている。しかし、彼がいざ登山に出かける日の朝、テーブルの上には彼よりも更に早起きをしただろう妻の作った弁当が置かれているのだ。
「ピーッ!」
初老の男性は弁当をザックに詰め、「それじゃ言ってくるよ」と静かに家を出る。このような背景にある人間ドラマを想像しながら……
「ピピーッ!ピピーッ!」
「だああ!何だ、うるさいなあ!」
「自分ダケノ世界ニ入ラナイデクダサイ。頂上ハ、マダデスカ?」
「もうすぐだ。全く論理だけで動くやつはこれだから嫌いなんだ」
「ツイデニ言ウト、次回ニ続キマス」
「なに?こんな低い山で頂上つかずに延ばすのか?」
「誰カサンガ、余計ナコトシスギタセイデス」
「いちいち癪にさわるやつだな……」
TO BE CONTINUED!!!
まずは「一の坂」が出発点だ。
T字路にでる。左側が三角山頂上なのでそちらへむかう。右側に行くと大倉山、小別沢方面に至る。